吉本興業について書くことはもうないだろう。少なくとももっと後でになるだろう。
そう思っていたのですが、また話題提供いただいた(?)ので書いてみたいと思います。
ちなみに以前の記事はこちら
※しばらくの間この記事はエラーで表示できなくなっておりました。原因究明が遅れてしまったことをお詫びします。現在は復旧しております。
吉本興業問題から考える組織の在り方【加藤浩次】吉本興業問題から考える組織の在り方【エージェント契約解除】
加藤さんのエージェント契約終了ということで、まずはそのことから始まり、宮迫さんへの発言についてと、自らの意思で吉本を辞めた人たちとの比較。そして結論へと進めていこうと思います。
とはいえ、業界人じゃないので途中の考えはあくまでも予想でしかありませんので、一考え方として「そんな見方もあるんだな」と軽く流していただければと思います。
エージェント契約終了――なぜ今なのか。
最近テレビを見ない私ですが、スッキリは一時期見ていて今も視聴率はそう悪いわけではなさそうです。
そしてこの契約が始まってから約2年。早すぎるという気もします。いつかはこうなるとは思っていましたが、まさか今年とは。
どうして今なのか。今することで得することは何なのか。考えていきましょう。
吉本にとって得すること1
まず得することですが、「吉本興業」に対して反抗的かつ一定以上の影響力がある存在を排除できる、ということ。
反抗的であっても、誰もが見たことも聞いたこともない芸人さんだったらわざわざ首にしなくても問題ないでしょう。
聞いたことがあったとしても、会社内での発言権が低ければそれもまた問題なかったでしょう。
加藤さんは「軍団●●」のようなものは率いておりませんし(私は聞いたことがありません)、群れるのがあまり好きではないそうですが、エージェント契約というものが新しくできた時、それについていった人たちがいることを考えると組織内の影響力はある程度あるはずです。
そんな存在を排除する。もう「加藤の乱」と呼ばれるような反乱を起こさせないようにする。
これは組織として当たり前の考え方でしょう。
はっはっは! 誰か私の寝首を掻いてくれ!
わかりましたー! 遠慮なくー(ぐさっ)
ぐはーっ! ありがとう!
とはなりませんよね?
そして加藤さんを切ることによって、「見せしめ」の効果もあります。……ちょっと表現がきついですけど。
加藤さんのように声を張り上げ、行動したらこうなるんだ。と、所属芸人たちに知らしめて、組織全体を引き締める。
組織を一つにするため。秩序を保つための一つの方法だとすれば、とても自然です。やりすぎても大変ですけどね。
吉本にとって得すること2
これに関しては、ロザンのお二人が【吉本】エージェント契約を解説でもお話しされてて、なるほどなー、と思ったことがあります。
吉本興業内にマネージャーさんたちが大勢いるわけですが、エージェント契約の芸人さんたちはそのマネージャーさん以外の方を雇われます。外部のマネージャーを自ら探すわけですね。
これは要約すると
あなたたちのところのマネージャーは信用できないので自分で探します。
でも仕事はください。
ということです。所属社員の仕事を奪っておきながら、自分たちのところに入って来た仕事(依頼)を割り振るわけです。
私が吉本興業の関係者だったとしても、いい気分じゃないです。
そんなにうちが嫌なら辞めたらいいのに……。
と、正直思ってしまいます。
そしてギャラの取り分としてもマネージャー分がないので、入りは少ない。出来れば自分のところに所属している芸人に仕事を割り振りたいと思うのは普通でしょう。
組織に不満を持つ影響力のある存在が取り除け、所属芸人に仕事を割り振れるので収入も増える。
さらに「嫌だな」と思う者同士で仕事をしなくて済むのは、互いにストレスを感じなくなるでしょうから、精神的にも楽でしょう。
今回加藤さんは辞めないつもりだったから、双方がというわけではなくても、片方が「嫌だ」「無理だ」と思っているならば、離れた方が互いのため。
そう考えると、契約終了も仕方ないですね。
吉本にとって損すること
騒動があってから、約2年。
それを「もう」ととらえるた「まだ」と捉えるかは個人の感覚でだいぶ異なるでしょうが、制度が出来てから2年で終了と考えると、短いと思います。
たった2年で終了となれば「組織を変えるって姿を見せるための、パフォーマンスか」と思われても仕方ないでしょう。
少なくとも私にはそう見えました。
吉本という組織は、指摘されていた改善点を改善する気がない。
そう世間に伝えてしまう危険性がある行動です。
せめてもう数年。できれば加藤さん本人がもっと個人での活動を増やして吉本を離れたいと言い出してから、が吉本のイメージを悪化させることないタイミングだったとは思います。
イメージが悪化する。少なくとも向上する行動ではないでしょう。
それでも今だったのはなぜか
ネット記事ではスッキリの内容を変えたいタイミングに来ていてMCの加藤さんを降板させたい、みたいなのがありました。
ですが吉本興業の芸人さんである、となると中々首を切りにくいそうです。
知ってる知ってる。
いわゆるあれでしょ。忖度でしょ?
忖度という言葉自体は悪いことではありませんが、まず間違いなく吉本にいるかいないかでクビの切りにくさの有無はあるでしょう。
吉本側としてもクビは切りたくても加藤さんのギャラ収入を完全に切ってしまうのは痛かったということもあると思います。
結局、「あの時は我慢してエージェント契約にしたけど、そろそろいいだろう」ということかなと。
そうじゃなければ、「今このタイミングで」という理由が、今の私には思いつかなかったです。
宮迫さん復帰についてOさんの言葉
吉本興業の会長さんですね。ええ。
伏せた意味がない!
戻らなくていい。辞めてまでネタにするな。
辞めてまで、じゃなくて辞めさせられて、だと思うのですが「吉本興業の経営陣へのイメージダウン」させられた怒りはまだ続いているようですね。
自業自得はどちらなのか
たしかに会社として「会見するな」という方針を打ち出していたのに「勝手に」したことは、組織全体としてみると良くない。
ただそれも、「なぜしてはいけないのか」をしっかりと説明し、宮迫さんと亮さんがその理由に納得していたらそうはならなかったわけです。納得してもらえる理由があればよかったのです。
謝罪したいという二人の気持ちを「するな」とだけ否定し、「したらクビだ」などと脅しともいえることを言ってしまったのもまた、組織として良くない。
正直宮迫さんはやり方を間違えたとは思います。謝罪会見をするにしても、youtubeを始めるとしても、根回しと言いますか。ご自身の周囲の人たちへもう少し相談をしてから考えるべきだった。
そんな心理状況ではなかったかもしれません。何せ異様なほどに報道された会見でしたから。
youtubeを開設する前に、ロンドンブーツのお二人や相方さんには「コラボ動画を撮っていて先方のこともあるからこの時期になる」などと一言あれば、それだけでも違ったでしょう。
だから「宮迫さんは自業自得だ」という意見にも納得はできるのですが、「吉本興業の経営陣へのイメージダウンもまた自業自得だ」と私は思うのです。
なのでそのことについて「延々と怒り続けている」のであれば、それは違うと思うし、同時に一つのことに対してそこまで怒り続けられるのは凄いなと思う。怒りって体力入りますからね。
一端「互いに悪いところがあったな」と受け入れるべきことでしょう。
勝手にテレビに戻ればいい、は圧力
吉本興業を介さずにテレビに戻ればいいと言っておられますが、そもそも吉本興業の株主にはテレビ局が多く名を連ねています。2年前の記者会見でもそのことは話題に上っていましたね。
圧力なんてかけてない、とおっしゃってますけどその言葉を聞いた人たちはどう思うのか。
宮迫さんへ怒っている姿を見て(聞いて)、それでも番組に出すことができる人たちが、いったいどれだけいるというのでしょう。
直接の圧力はなくても、気を使わせる(忖度させる)空気にするのは、卑怯じゃないでしょうか。
圧力なんてない。自由にすればいい、と本気で言いたいのならば記者に「明らかに様子が変わった」などと書かせてはいけないでしょう。
宮迫さんの話を振っても朗らかな態度は変わらなかった。笑顔のままであった、というのならば「圧力はない」に説得力はあります。
明らかに怒ったような顔で「好きにしろ」は、「できるものならな」という副音声も聞こえてしまいます。
オリエンタルラジオのお二人、西野さんの退所との違い
以前からの流れがありますよね。……藤森さんは意外でしたが。
中田さんも西野さんも、吉本興業がなくても問題ない芸人トップ2と言える方たち。むしろ所属している方が身動きがとりにくくて不便そうとも見えます。
藤森さんは吉本興業という住まいからあちこちに行く、という姿が似合っていると思いますが、辞められてもお仕事が減ることなく(今のところ)過ごされているようで良かったです。
加藤さんや宮迫さんとの違いは、ずばり。考えていたかどうか。これに尽きると思います。
西野さんは以前よりご自身が表に立つことではなく、もっと別の夢を追いかけ始めておられました。その夢を叶えるためにどうすべきか考えて実行してきた結果が今。別にとっくの昔に組織を離れていても良かったでしょうに、義理や人情という意味で残っていた印象です。
中田さんも自分の価値を発揮できるものをとしっかり考えてテレビ番組を少しずつ降りていき、コンビ互いが別々でも問題ない様にしてから辞めるようにしていました。
藤森さんは……割と急遽辞められたので、どこまで考えてのことかはちょっとわかりません。
西野さんと中田さん退所の話が盛り上がりすぎて藤森は辞めてないことになっている、と動画で言っておられましたので藤森さんも辞めてるんだよと主張はさせていただきますが、辞める事をどれだけ考えていたかについては明記しないでおきます。
ただ与えられる仕事を深く考えることなくこなすのと、自分で考えたうえで仕事を自ら生み出していく。
考えることと実行すること。
これが大きな違いでしょう。
加藤さんも考えてエージェント契約を持ち出したのだと思いますが、契約が切られた後のことは考えていなかったように見えます。
宮迫さんに至っては辞めることになるとは思っても見なかったでしょう。
考える事とは、疑問に思う事と言い換えても良いと思います。
やった! 会社から仕事貰ったぜー!
とにかくがむしゃらにもらったしごとしまくるぜー!
仕事を貰ったけど、このままでいいのかな?
自分って、本当にこういうことがしたかったのだっけ?
これは芸能人だけでなく、私自身にもあてはまります。
依存している会社に何かあった時、自分はどうなるのかを考えました。
組織に求められるものとは
会社から仕事を貰った。
それは良いことです。信頼してもらっているということですし、成果をあげればさらに仕事が増える。収入が増えて生活が安定して、気も楽になる。
それで満足してはいけないという話ではありません。満足してもいい。でも満足しているその状況は会社に100%依存しているわけですから、宮迫さんのように予想外のことが起きた時に大変なことになる。
加藤さんや宮迫さんの例を見るに、そうして思考停止して依存してしまった時の恐ろしさが分かります。
仕事を貰えることに対して一定の満足を感じていても、そこだけに依存しすぎないことの重要性が吉本興業で起きていることを通して見えてきます。
同時に、依存しすぎていない人たちからも「ずっとここにいたい」と思わせる何かが組織には必要なのだとも思います。
まったく不満のない組織や契約なんて不可能です。互いにどこか妥協し合うもの。
ここにずっとい続けなきゃいけない。
ではなく、い続けなくても生きてはいけるけど居心地良いからずっとここにいたい。
全員にとって居心地の良い組織であることは難しいでしょうが、誰にもそう思ってもらえない組織からはどんどんと人が抜けていってしまうでしょう。
それを止めるために圧力をかけることはもちろん、直接働きかけなくても圧力じみたものをかけることはできます。
組織を守るために不穏分子は徹底的に排除していく。
しばらくはそれで防げるかもしれません。
それでいつまで防げるのか……起業した時の参考になるように、今後も見守っていきたいと思います。
ではまた。
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