親指シフトは無駄? 必要? ローマ字入力とどっちがいいの?

キーボードその他
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 親指シフトとは、日本語の「かな」を入力するためのキー配列規格の一つです。
 普通のキーボードに書かれているひらかなの通りではなく、ホームポジションを中心とした3段だけで全ての文字を打つことができます。

 親指シフトの基本のキーボード配列はこんな感じです。

親指シフトエミュレータ紅皿設定画面より配列画像
親指シフトエミュレータ紅皿設定画面より

 今回は親指シフトが文字入力には良いと聞いたけど、「本当のところどうなの? 親指シフトは何が良いの? デメリットはないの?」という方の参考になれば幸いです。

 ちなみに導入については>>【親指シフト】導入方法と練習方法 をご覧ください。

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親指シフトは無駄? 必要? ローマ字入力とどっちがいいの?

 結論:人による!

ワン親方
ワン親方

身もふたもない!

 というのも、どういう理由(目的)で親指シフトを始める(使う)かによって変わってくるからです。

 そもそも親指シフトは「親指シフトは不要派」と『親指シフト好き派』に分かれており、両者で言い分が違います。

 私は親指シフト好き派です。

 ただ、だからといって全員に親指シフトをおすすめはしません。

 この不要派と好き派の意見をまとめてみたのでそれらを見比べて、自分にとってはどちらがいいのか。判断材料にしてみてください。

親指シフト好き派が親指シフトをオススメする理由6選

参考:NICOLA 日本語入力コンソーシアム(公式)※現在サイト閉鎖 + 他複数の個人ブログ

  1. ワープロ検定合格率No.1 + 大会実績――すごい
  2. 日本語の特性、指の使用率を考えたキー配列――スムーズに打てる
  3. 打鍵数の削減による作業軽減――打鍵音が静か
  4. ローマ字に脳内変換しなくていい――直感的に打てる
  5. タイピング速度が上がる――2~4の影響
  6. 身体にもやさしい――疲れにくい
ワン親方
ワン親方

おおっなんだか凄そうなのが並んでるぞ!

 実際どうなのか、見ていきましょう。

1.ワープロ検定合格率No.1 + 大会実績――すごい

 合格率の情報は結構古いです。また、大会実績についても調べてみましたが、よく分かりませんでした。

 でもその情報も結構古いもののようです。これはちょっと信ぴょう性ないですね。

ワン親方
ワン親方

なんでえなんでえ、嘘情報か!

 これに関しては親指シフト好き派としてもなんとも返せません。大会実績が~と書かれているサイトは多いのですがソースがどこなのかが不明です。

 良い点一発目がこれで申し訳ありませんが、次からが本番です!

2.日本語の特性、指の使用率を考えたキー配列――スムーズに打てる

 と、書かれているサイトは多いのですがそう判断した詳しいデータまでは分かりません
 でも実際に使ってみると小指を使うことがあまりなく、動かしやすい指をよく使っているなぁとは感じます。

 たとえば、ローマ字入力だと母音は欠かせません。しかしその母音の一つである『A(あ)』は左手の小指。それに対して親指シフト(二コラ配列)だと親指+左手薬指(Sの位置)です。ほんのわずかな違いですが、そもそも『A』としていろんなキーと組み合わせるのに使うのではなく、『あ』として使うだけですから使用頻度が違います。

 左手の小指を動かしまくると分かりますが、結構しんどいです。

ワン親方
ワン親方

いやっ、俺は小指マスターだぜ!

全然しんどくないんだぜ!

 という方もいらっしゃるかもしれませんが、基本的には疲れますし打ちにくいと思います。

 なので「そう言われればそうなのかな?」というのが実感です。

 ただホームポジションから手が大きく動かない、というのがスムーズと言えばスムーズでしょうか。

3.打鍵数の削減による作業軽減――打鍵音が静か

 一つの文字を打つために必要な打鍵数が親指シフトだと1回、ローマ字入力だと1回または2回になります。

「た」という文字を打つためにローマ字ですと「T」「A」の2回キーを打ちます。それが親指シフトですと左手中指で「E」の位置を打つだけでいけます。

「も」ならばローマ字だと「M」「O」。親指シフトだと左手の親指で「無変換」のあたりを押すと同時に「G」の位置を押します。

専用キーボードの場合はシフトの位置に親指シフト用のキーが来ます。

ワン親方
ワン親方

おいおい。

上の例はともかく、下のやつだと結局2か所押してるじゃねーか!

 ここでのポイントは打鍵箇所ではなく、回数です。

 親指シフトは「も」の例のように親指と同時に押すことで入力する文字があります。同時になので音としては「タン」だけです。ローマ字だと「タンタン」です。もしくは「カタ」でもいい……あ、擬音の種類はどうでもいいですね。

 慣れないとココが変に感じると思いますが、親指のこの動きはあまり疲れないので慣れれば自然です。

 まあ慣れるのが大変ですけども。

4.ローマ字に脳内変換しなくていい――直感的に打てる

 3の例でも挙げましたが「た」を打つためには「TA」です。頭の中で一度ローマ字に変換するのと、「た」を「た」のまま打つ違いの話です。

 これに関しては本当にそうだと思います。
 たったそれだけの違い。でも大きな違い。

 親指シフトユーザーにしか分からない感覚だと思います。
 楽なんですよね。疲れない
 これは人間が一日に決断できる回数に限りがあるというウィルパワーというものを考えると、納得できます。
 ウィルパワーについて詳しく知りたい方は>>集中する為に必要なのはウィルパワーの記事もどうぞ。

 後文字打ちがとても楽しい

 ローマ字入力でも文字は打てるし、日本語に変換できる
 でも、親指シフトの方が文字が、言葉が、文章が自然と出てくる感覚です。

 これは私個人の考えですが、日本語特有の表現を生み出すための邪魔にならないのが理由かなと思ってます。

5.タイピング速度が上がる――2~4の影響

 1.7倍という数字が検索すると出てきますが、これは「う~ん」というところ。実際すごく極めた方だとローマ字入力より早いみたいです。

ワン親方
ワン親方

みたいですって、他人事みたいだな?

 そうなんですよねぇ。私には当てはまらないのです。

 私自身がストレスない程度に打てるようになって満足しているからか。学生時代にローマ字入力をかなり頑張って速く打てていたせいか。そんなにローマ字入力から変わったかと言うと、変わってないかなぁと。

 タイピング速度があがる理屈としては、2・3・4が関係してます

 打ちやすい位置に配置されている(効率的に打てる)。打鍵回数が少ない(タンタンっ、ではなくタンっで済むから)。脳内での変換作業が減る。

 理屈としてはあっているので、スピードを極めればローマ字より早いかもしれませんが、私自身に大きな実感は有りません。
 現在はローマ字入力が遅くなったので、親指シフトの方が速く打てますけれど、親指シフトを知らなかった時代と比べて早いかは分かりません。

 そもそも2・3・4にデータはありませんので、私の体感ですが。

打つ速度は思考速度とそう大きく差がなければストレスは感じません

 私の学生時代、授業でタイピングソフトの一定以上の評価を出さないといけなくて、私はその一定以上で満足できず最高クラス評価を受けるためにがむしゃらにしただけです。

 見た文字(打つことが決まっている文字)を打つことと、考えながら打つこともまた違います。
 考え(試行錯誤し)ながら打つのなら、ものすごく速いタイピングは不要かなと、私は思っています。

 事務の方やプログラマーの方は必要かもしれませんが、私にとっては満足いく速度が出ています。

6.身体にもやさしい――疲れにくい

 これは2と4に関係してます。

 打ちやすい位置にあるから手が疲れにくい(動きが少なくて済む)。脳内変換をしなくなるので脳の疲れが減る。

 詳しいデータではなく、私個人の感想。
 手首や肩こりは変わりませんが、指が吊るようなことはマシになったと思います。ただ手の疲れより、脳の疲れが減ったのが何よりの変化でしょうか。

 ただ脳が疲れにくいというのは、ローマ字入力→親指シフトに移行しただけでは気づきにくく、親指シフト→ローマ字入力をして初めて気づきます。

 私も最近ローマ字入力テストをしたことで気づきました。

ワン親方
ワン親方

ローマ字入力って、こんなに疲れるのな。

うおおおんっ疲れたぜ。

 なので私は疲れにくくなるよ、と主張したいですが、親指シフトをしたことがない、挫折した方には納得できない話でしょうね。

親指シフト不要派が親指シフトをオススメしない理由6選

  1. 大会実績 → 疑わしい
  2. 日本語の特性、指の使用率を考えたキー配列 → 疑わしい
  3. タイピング速度が上がる → 疑わしい
  4. ローマ字に脳内変換せずに直感的に打てる → 疑わしい
  5. 身体にもやさしい(疲れにくい) → 疑わしい
  6. 親指シフト専用キーボードが2021年5月で販売終了 → マイナーだ。効果が疑わしいからだ
ワン親方
ワン親方

全部疑わしいんかーい!

大会実績 → 疑わしい

 昔の情報ということでたしかに当てにはならない。なるほど。納得! これは疑わしい。

ワン親方
ワン親方

納得するなよ!

日本語の特性、指の使用率を考えたキー配列 → 疑わしい

 詳細なデータがないので客観的に判断は難しい。
 でも実際使ってみたら意味は分かるかなと思います。

 それかキー配列を見比べていただき、自分が良く打つ箇所の位置を確認するとなんとなく理解できると思います。

 しかしながらたしかにソースはありません。どこから出てきた情報で、どうやってそう判断されたのかのデータがないので、疑われても仕方ないですね。

タイピング速度が上がる → 疑わしい

 私の場合は変わらない。しかしながら極めれば速くなるだろうなという感覚はあります。

 つまり、ローマ字入力よりも早く打つようにするにはかなりの練習期間と労力が必要となり、その速度に行く前に諦めてしまえば「親指シフトの方が遅いもしくは変わらない」が正しいとなります。

 そして速度に関してはどれだけの速度を求めるかによって変わると思うので、タイピング速度を早くしたいから親指シフトを練習するのは、親指シフト好き派の私もおすすめしません

 もしくは速度が上がるという情報は、親指シフトを練習しまくることでローマ字入力が遅くなるから親指シフトの方が速くなる可能性もあります。

 私の場合ではありますが、実際に親指シフトを練習する前よりローマ字入力の速度は落ちています。

 この説もまた、私は否定できません。

ワン親方
ワン親方

結局、親指シフトは遅いのか? 速いのか?

 どちらの説も正しい、というのが私の結論です。

ローマ字に脳内変換せずに直感的に打てる → 疑わしい

 繰り返しになりますが、親指シフトに慣れ切った後でローマ字入力をしてみると分かります。すっごい疲れるんです。指がじゃなくて、脳が。

 集中力を高める勉強をした際に学んだこと「意思決定するたびに脳の体力のようなものが減っていく」を考えると理にかなってます。
 ローマ字変換する、というのを一段階減らすと脳の体力(ウィルパワーと言います)も温存され、集中力をより長く続けられるのです。

ワン親方
ワン親方

集中力が続くのはいいな!

 はい。ここは親指シフト好き派として譲れない点です。

 この4に関しては指はともかくとして、脳は疲れにくくなる、と否定したうえでおすすめしたいポイントですね。速度よりも、私は親指シフトの疲れにくさが好きです。

身体にもやさしい(疲れにくい) → 疑わしい

 4にも通じますが、これは人によるとしかいえません。

 親指シフトに慣れた私は、逆にローマ字入力の方が手の動かし方に違和感があります。なのでローマ字で打てるけどきっと指も疲れやすいでしょう。

 逆に、ローマ字で慣れている人からすれば、親指シフトの方が違和感があって変に力が入ったりして疲れてしまうでしょう。

 慣れてしまえば問題は有りませんが、慣れるまでが長いので、そこまでして使用できるようになった方が良いのかは、親指シフトを覚えたい目的を明確にしたうえで各自で判断していただけたらと思います。

親指シフト専用キーボードが2021年5月で販売終了 → マイナーだ。効果が疑わしいからだ

 その通り。親指シフト専用のキーボードが販売を終了しました。

ワン親方
ワン親方

ということは、親指シフトはマイナー。

オワコンってことかぁあああっ。

 たしかにそういう見方もできますが、そもそもこのキーボード。普通に店舗で売っていません。ネットで買えたようですが、実店舗で買おうとしていた私には手に入れられませんでした。だってやはり未知の物ですから、確認しておきたかったんです。

ワン親方
ワン親方

って、専用キーボードないのに

お前さんはどうやって親指シフトを使ってるんだ?

 それはですね。専用のソフトを導入することで普通のキーボードを親指シフトに変更することが可能だからです。

 私はずっとやまぶきRを使っておりますが最近更新されておりませんので、もしもこれから導入検討されている方は紅皿がいいかと。

 紅皿はインストール版とUSBに入れて持ち運べるタイプのものがあって出かけ先のPCでも親指シフトが使える上に、設定も簡単です。
 ちなみにその導入については>>【親指シフト】導入方法と練習方法 でまとめてありますのでよければ参考にしてみてください。

 と、ソフト面で優秀なものがあるため、専用キーボードがなくなろうと、親指シフトがなくなることは……少なくとももうしばらくはないと思います。

 しかしながら有志の方が公開してくださっているだけですので、リリースがなくなる不安はあります。
 ローマ字入力がなくなることはありません(可能性はとても低い)ので、その点ではローマ字入力が安心です

 私はもう親指シフトで慣れていて、ローマ字がしんどすぎるので使える限りこちらを使っていきますけれど。

親指シフトを覚えるメリット・デメリット

キーボード
Photo by Cristi Goia on Unsplash

 親指シフトを覚えるべきか気になっている方にお伝えしたいメリットデメリットはこちら。

  • 打つのが楽しい――日本語を打つのに向いている
  • 脳が疲れにくい――脳による決定回数を減らせる
  • 打鍵音が静か――仕事やっている感は減るかも?(笑)
  • 頑張れば打つのは速くなるかも――指を動かす範囲や回数
  • 慣れる(速度を出せる)まで時間がかかる――労力が必要
  • 専用キーボードは販売終了――代替え手段はあるものの、有志に頼っていて将来性が不透明
  • ローマ字入力は遅くなるかもしれない
  • ローマ字入力と混乱する可能性

 ローマ字入力の速度は、私は遅くなりました。

 が、問題ない範囲では使えます。プログラミングの勉強もしたりしておりましたが、その時にはまったく違和感は有りません。日本語を打つ時はちょっと違和感ありますが。

 ちなみに専用キーボードを私は使っておらず、『やまぶきR』(HP)という親指シフト用のソフトを使っております。他にもフリーのソフトが出てくると思いますが、やまぶきは設定がとても簡単で重宝してます。ただし、2015年から更新しておりません。

 なのでこれからしようと思われている方はやまぶきの後継といってもいい『紅皿』(HP)がおすすめ。こちらはインストール版とUSBにいれて持ち運べるものから選べます。

あなたは親指シフトを覚えてどうしたいですか?

 大前提として、慣れるまでに時間と労力がかかります。

 早くキーボードを打てるようになりたいのか、もっと楽に日本語を打ちたいのか、新しいことにチャレンジしたいだけなのか……それをしっかりと考えたうえで挑戦してみてください。

 ローマ字と両方使えるようになると格好いいですよ。

 でも、時間はかかるので無理せず、ローマ字入力を極めていっても格好いい。もしくは違う配列に挑戦してみるのも面白いかもしれません。
 配列って結構たくさんありますからね。

 自分に合ったキーボード配列で素敵な執筆人生を! では、ここまでお読みいただきありがとうございました。

ワン親方
ワン親方

俺っちも自分の好きな配列で頑張るぜ!

じゃあ、またな!

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