タイトルがやたらと長いですが、これは書籍名です。
結構FIRE関連では有名な本かなと思うのですが、外国の方が書かれてあり、自分とはまるで違う世界の人の話だからついていけるかと心配で買わずにいました。
のを、ついに買ってしまいましたね……なので今回はこの書籍について語っていきます。
『FIRE』最強の早期リタイア術―最速でお金から自由になれる究極メソッド
まずFIREとは何かというと『Financial Independence, Retire Early』の頭文字をとったもので、経済的な早期リタイアのことをいいます。
定年を待たずに退職して悠々自適に過ごす、というのが一番分かりやすいでしょうか。
資産を投資に回し、利益や配当金などで生きていく。
そのためには生活費25年分の資産が必要だそうです。25年……月に10万円で過ごしたとしても、年で120万。その25年分ですので3000万円が必要となります。
そんなの無理だぜ!
と思った方は多いのではないでしょうか。私も思いました。
じゃあこの本は詐欺なのか、というとそんなことありません。ご自身の体験をもとに、他の方にでも実践できる方法をしっかりと書いてくれています。
その中で気になった個所についてまとめます。
本の最初は著者の経歴――苦手な方は読み飛ばそう
この本はビジネス本になりますが、著者の自伝でもあります。なので、幼少期から本は始まります。
ここで注意したいのが、「不幸自慢に聞こえる」可能性です。
私は少し思いましたし、そういった話を聞くのが苦手なので飛ばして先から読み進めました。それでもこの本から学べることはたくさんあると思います。
というよりも、その部分は参考にするにはあまりにも生きてきた環境が違います。
私もお金は欲しいと思いますし、失敗に対する恐れはありますが、著者のはまた違いです。良い意味で貪欲です。ここまでの執念があれば、たしかにミリオネアになれるだろうなと思えますし、尊敬します。
他の章を読んだ後、この部分に戻ってくると著者がどうしてそのようなマインド(欠乏マインドと表されてました)を形成したのかがよく分かり、納得感がありました。ですが著者のそのマインドに倣って行動できるかと言うと、無理です。
なので私のオススメとしては、その部分は読み飛ばし、第三章以降から読んでいくと良いと思います。他の章を読んで著者の経験が気になったら戻ればいいだけの話です。
第三章じゃなくても、気になる章からでもちろん大丈夫です。ただ第三章は進路が決まっていない学生さんには特におすすめです。
もしも早くリタイアしたいと考えているならば進路はとても重要です。その進路を選ぶ一つの考え方として参考になると思います。
話が少しそれました。
コカ・コーラの缶がとても大切な宝物であった子供時代。それは私には理解できないことです。
私の両親はジュースをあまり買ってくれなかったのでたしかにもらえた時は嬉しかったですが、何日もかけて飲んだり、その缶を大事に保管はしませんでした。
そんな過去の話を、著者は気にせずに語ります。同情して欲しいわけでないことは文を読んでいくと分かります……訳された文章なので少々分かりづらくは有りますが。
でも苦手な方は苦手だと思いますし、読まなくてもFIREに至るために必要な方法は学べますので、店頭や電子書籍の試し読みで最初だけ読んで「うーん」となった方は、そこ以外を読んでみるのはありです。
でもよ?
本って全部読まなきゃだろ?
そんなつまみ食いみたいな読み方でちゃんと理解できるのか?
という疑問については>>【読書レビュー】大人のための読書の全技術にて書いてありますので、気になった方はそちらもどうぞ。
それにこの著者も、自身の過去を大勢に知って欲しいわけではなく、多くの人にお金から解放されて自由になって欲しいとおっしゃられています。その時に、元々お金持ちだったからできたのではないのだと、それを伝えたいのです。
うぅ、でもよおぉ。
なんかやっぱり申し訳ない気がするぜ。
ちゃんと全部読まないってのわよ。
安心してください。
読み飛ばしたからと言って著者や編集者が殴りこんでくることはありません。遠慮なく読みたいところだけ読みましょう。
倹約についての考え方――すべての支出は平等ではない
私が最も参考になったのは、第6章です。
第3章じゃないんかーい!
さっきあれほど第3章といっていましたが、はい。私にとっては今から学びに時間をかけて、それからお金を稼ぐというのは難しい。
もちろん学んでいくのは学んでいくのですが、それだけに注力できない。ただ、利益のことを考えて『何』を学ぶのかについて選択する際にとても参考にしたい考え方が書かれてあります。
なので、稼ぐために何を学ぼうかと悩まれている方はぜひ第3章を読んでみてください。
倹約である6章を上げたのは、誰にでも参考になる箇所だと思ったからです。
倹約かぁ。
ケチになれってことか? それはやだなぁ。
と、思われるかもしれませんが著者はそのようなことは言ってないんです。それが表題にある「すべての支出が平等ではない」ということです。
どういうことなのかは、著者の体験が語られています。
幸福とは慣れるもの――比較対象がなくてはならない
著者はコーチ(coach)のハンドバッグ中毒だったそうです。
著者はお金を大事にしています。
なので購入の際には入念に下調べをし、購入しました。第一号のバッグを買った際にはとても興奮して「心臓が張り裂けそうだった」とおっしゃってます。
もう大人になってからとはいえ、鞄を大事そうに抱えて喜んでいる姿を想像するとほっこりしますね。
俺っちも初めての給料で欲しいものを買った時は、
嬉しかったぜ!
この時、著者は心の底から幸せでしたが、異変を感じたのは次のバッグを購入した時。同じ幸福は感じなかったのです。
同じくらいに時間をかけて下調べをし、値段も同じくらいのものを買ったにもかかわらず、心臓が張り裂けそうな感動はなかったのです。
5つ目になると記憶にも残っていない……最後は飽きて1つ以外は売るか譲るかで処分されたとのこと。
これはなぜなのか。
ヘドニック・トレッドミル現象。
検索するとすぐに出てくると思いますが要するに「人は幸せに慣れる生き物だという性質のこと」ということです。
著者の例では、バッグを買ったという幸福に脳が慣れてしまい、同じ値段・同じ労力で手にできるものを買っても幸福を感じなくなったのです。
心理学でも実証されている現象で、一度宝くじに当たった方はもう一度当たっても最初と同じ幸福感は得られない。もっと巨額のくじに当たらないといけないのです。
同じ程度の良いこと(欲しいものを買う、宝くじに当たるなど)ではなく、もっとすごく良いことを求め続ける……人間の欲には際限がないと言われるゆえんですね。
この話は生化学の研究成果としてもう少し詳しく書かれてますが、そこを掘り下げるのは本題ではないので省きます。
もっともっと欲しがる、というのをやめれば節約できる。
ことを著者は訴えたいわけではありません。
著者は思ったのです。この現象は「所有に言えることであって、経験には当てはまらないのではないか」と。
何かを買った、ではなく。何かを経験した。
旅行に行った。ダイビングをした。モノづくり体験をした。友達や家族と買い物をした、食事をした。
著者は非常に旅行が好きな方で何度も行っているそうですが、行くたびに幸福度が低下するかというとそんなことはない。だからこそ何度も行っているのだ、と気づいたのですね。
より多くのモノを所有するほど、人はより不幸になり、よりストレスを抱えるということです。逆に、より少ないモノを所有し、旅行や新たなスキルの習得など経験によりお金を使うほど、人はより幸福になり、より人生に満足するのです。
FIRE 最強の早期リタイア術―最速でお金から自由になれる究極メソッド-第6章より
全ての節約に痛みが伴うわけではない
しかし、支出が平等でないのであれば、すべての節約に痛みが伴うわけではないのじゃないか。
著者はそんな可能性をひらめきました。
なぜなら「幸福感を高めない支出」があるのならば、その支出は削っても幸福感に影響を与えないということではないか、と考えたからです。
先ほど著者がバッグを買うことに飽きて辞めたように。
ダイエットのように切り詰めていくのでは、苦しさが先立ってしまいます。ですが「痛くないところ」を削るのは問題ないはずです。
節約による痛み(余談ですが、私はこの節約の痛みという表現が好きです)が「どんな節約だと感じ、どんな節約だと感じないか」を探していけばいい。
著者は「コーヒーを一杯買うことをやめてそれを貯金にまわせばいい」という考え方はバカげていると言ってます。著者自身はコーヒーが好きなわけではないそうですが、コーヒー好きな人たちはそのたった一杯のコーヒーで一日がハッピーになるのだと分かっているのです。
著者自身も好きな辛い物について「辛い物を食べなければ寿命が延びるのに」と言われたら「大好物が食べられないなら長生きしたくありません」と答えるそうです。
私自身、コンビニでお菓子を買うのが好きです。スーパーで買った方が安いですが、仕事帰りにちょっと立ち寄って、新商品が出ていないか確認し、気になるものや気に入りの物を買って帰る。お腹がとてもすいていたら、食べてから帰る。
そうすることで疲れて重たくなっていた足も軽くなり、自転車も元気よく漕げるのです。
まあ……今はダイエット中なのでなるべく我慢しておりますけども。
それはさておき、
節約の秘訣は自分なりのやり方を見つける事――そのための指針となる4ステップ
- 幸福度を上げない基礎的な支出を削る
- 痛みの伴う支出を削る
- 所有している高額なものを減らす
- ご褒美を加える
1の例では銀行の手数料、利用していないサービスのサブスクリプション、視聴していないチャンネルのケーブルテレビ、固定電話があげられています。
手数料は確かに払わないに越したことはありませんし、利用していないものに払う必要もありません。
私も大分サブスクリプションは解約しました。
2には痛みを伴う支出を削るとあります。多少は不愉快だけど、いずれ慣れるものを削る。
著者は通勤時に歩くこと。奇遇なことに私もそれでした。
毎朝250円のバスを使わずに歩いています。20日通勤としたら毎月5000円浮きます(ちなみに帰りはさすがにしんどいのでバスを使います)。
1年で6万円です。5年で30万円と考えると結構大きいです。
30分以上歩くのでしんどくないというと嘘になりますが、大分慣れましたし、運動になりますし、気分転換にもちょうどいい。今ではそうしんどくなくなりました。
ただ、削るとどうしても幸福度に永続的に影響を与えてしまう種類の支出は削らなくてもOKです。その支出が何であるかは人それぞれ。単純に誰もが「コーヒーを買うのをやめればいい」わけではないのです。
もちろん、あまりにも不健康なことならば辞めた方が良いとは思いますが。
これに関しては各自で実践して「これは慣れそう」「これを削るのは無理だ。辛すぎる」を試行錯誤していくしかありません。
止めたものですぐ恋しくなったら節約リストから外していい、のは嬉しいですね。判断基準が甘すぎてはいけませんけれど。
3は維持にお金がかかるもの、保険など。車に関して話されてますが、手放せというわけではなく、車を使う頻度をなるべく落とすことで故障を減らし、給油にかかる費用や保険料を減らせる、と。
4が何よりも特徴的。痛みがない、もしくは慣れることができる支出となくてはならない支出が分けられたならば、少し楽しもう! と。
削れた支出の合計を出し、その一部を自分へのご褒美にまわす。何に使うかは明確に決めなくていい。
もちろん、あくまでも支出カットできた一部だけです。でもどりょくして捻出した大切なお金を楽しむために使えるのですから、頑張ったかいがありますよね。
私はこれらの倹約に関する考え方がとても響きました。節約しても楽しんでいいんだって。
リベ大でも苦しくない節約を、とおっしゃってましたが節約してできた資金の一部をご褒美に、はもっと節約できるところがないか探すためのモチベーションにもなりますし、
これ欲しい……いや、節約節約……あ、こっちも気になる。
いやいやいや、節約節約。
のような、ひもじいことにならなくて良い。
何よりも「自分がどれだけ節約したのか正確に把握する」必要もあるので、家計がどれだけ改善されたかハッキリします。私も保険の見直しなどでだいぶ節約はできたはずですが「大体これくらい」しか分かってなかったのできっちり計算しました。
そしてそこから、ご褒美をいくらか決め、残りを投資(預金、株・債券、自己投資)していきたいと思います。
やってやんぜー!
式、グラフ、表がとても分かりやすい――これだけでも価値あり
お金に対して非常に貪欲である著者ですが、それゆえなのか。ことあるごとに数式やグラフ、表を出してくれます。
第3章では大学にかかるコストと学位の価値(コストは国の事情で異なるので日本にそのままあてはまるわけではありません)が表として出され、計算方法も載っています。
第7章ではマイホームが資産ではないことを計算式で冷静に解き明かし、コスト表も明示。不動産業者から怒られそうだなと、他人事ながら心配しました(笑)。
第8章にはS&P500のパフォーマンスと1%の手数料を載せた時のパフォーマンス比較が載っています。たった1%の手数料による違いが分かりやすい。
第10章では「リタイアまでどれくらいの年数がかかるのか」を貯蓄率やリターンを元になんとも分かりやすいグラフにしてくれています。
第11章では暴落にあわせ、4%ルールの弱点を補う現金クッションの話と、ポートフォリオの利回りと現金クッションの計算(や考え方)が載っています。
これらの式やグラフだけでも私はこの本を購入して良かったと思います。ちなみに電子版で買って、通勤時の電車やバスの中で読んでました。
スマホでは見ずらいので、それようのを買おうか検討中……ご褒美資金を貯めて買うのは良さそうですね。
うおおお、やる気が出てきたぞー。
購入されたら、他にも気になったところを読んでみてくださいね。
まとめ――この本の魅力は後半にある
全体としては「海外の方の本だなぁ」という印象。というのは、私が今まで読んだ数少ない書籍たちの雰囲気を感じたからです。
それは物語で、指輪物語とかハリーポッターとか……題名忘れましたが吸血鬼の話とかです。
最初に何か事件が起きる、ことがなくだらだらと文章が続きます。指輪物語はそれで断念して読めてません。ハリーポッターも何度か断念し、何度目かにようやくその最初を通り抜けられて読むことに成功しました。
最初は正直面白くない……でもその後が面白い。
ハッキリいうと、この書籍も最初は面白くない。
第一章の最初は医療廃棄物の山を友人と漁っていた、というのから始まるのでインパクトはあるのですが、この書籍を手にした人たちからすると「そこを聞きたいわけじゃない」感があります。
この書籍を手に取る人たちは、FIREしたいか興味がある人です。著者の過去に興味があるわけではない。物語として面白いと思いますが、読者は物語を読みに来たわけではないのです。
FIREするための条件としてその過去が必要ならば、この本にはそもそも購入する価値がない。なにせ本を読める状態の人たちにとって著者の過去を経験する術もないし、したいとは思えないでしょう。一部では実践する猛者もいるかもしれませんけど、そこまでしてFIREしたいかと言われたら、私は速攻で首を横に振ります。
最初は正直面白くない……でもその後が面白い。
だからこそ、私はこの本を読み、こうして記事を書いてます。
などと偉そうに語ってますけど、海外の本をたくさん読んだわけではないので、私が読んだ本たちがたまたまそうだっただけかもしれませんけども。
とにかく、著者の考え方や実践してきたこと。惜しまずにまとめてくれたグラフや表は年齢性別問わず、参考になる点があると思います。
気になった方にはできれば実際の本を手に取って、後半部分を試し読みしていただきたい。電子版だとどうしても最初しか立ち読みできないので。
ビジネス本であり、FIREの本なのに著者の過去が最初に語られる。早期退職なのに、全然早くない構成。
あと仕方のないことではあるのですが、翻訳した文章ならではの違和感もあります。育ってきた環境が違うことによる日本とは異なる表現方法を、無理やり日本語にしているわけですから仕方ありません。
私もあまりこの本の文章自体は合いませんでしたが、中身が面白かったので読めました。中身はほんと、おすすめです。
私は中身の一部しか書いてませんが、本を要約してくださっている方を探して見てみるのもいいでしょうし、FIRE関連でもっと自分に合うものを探しても良いと思います。
少しずつ無理せずに学んで、FIREに近づいていきましょう!
ではまた!
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